町の読書環境を考えるつどい(第一部)
町の読書環境を考えるつどい

実施計画とその実際 及び 参加者アンケー




は じ め に

 本町には役場の企画財政課を事務局として町にかかわっている三十数名で構成された「町づくり委員会」がありますが、数年前に構成された先の「町づくり委員会」における教育部会が、平成13年8月5日の「まちづくりシンポジウム」において、テーマ「読書環境を考える」で現状と問題点、そして今後の方途を提言しました。その後、本町の読書環境を含めて、教育的・文化的な方向への関心は、一層高まりをみていると思われます。
 このような町民の意思・姿勢をかなえさせていく一つの方途に、この本町の文化的な姿勢・構えづくりが必要であろうと考えるわけです。そうしたときにその大きな手立てに「読書環境」があると思うわけです。その読書環境の現状を見つつ、今後の私たちの学びの大きな手立てであり、一人ひとりを育てる「読書環境」考えようとして、今回の「町の読書環境を考えるつどい」を初めて行いました。

                          宮田町まちづくり委員会一委員(本HP作成者)から


INDEX





「町の読書環境を考えるつどい」実施要項
                     
1 趣 旨
 昨今、地域・家庭・学校を通して、住民、また子ども一人ひとりの読書環境の充実が強く求められています。そのために、行政・住民それぞれの努力が続けられていますが、ますます多様化し、複雑化していく現在においては、宮田町外をも視野においた本町の読書に関する整備をより一層図らねばならないと考えています。
 そこで、読書環境整備にかかわる方やそれに関心をお持ちの方々がつどい、これからの宮田町の読書環境の在り方を求め、今後の読書環境整備充実の一端を担いたいと考えます。

2 主 催  宮田町まちづくり委員会

3 後 援  宮田町、宮田町教育委員会  

4 日 時  平成14年3月2日(土) 13時30分〜16時30分

5 会 場  宮田町地域交流センター 大会議室

6 対 象  宮田町住民の方、読書に関心のある方、
       宮田町PTA・保護者、読書ボランテイア、
       宮田町立小・中学校教職員及び図書関係教職員、
       幼稚園・保育園関係者、公共図書館関係者、
       宮田町行政関係者

7 日程及び内容 
        (下表に示します)                

 日 程 及 び 内 容


13:00 13:30 13:40                      14:40 14:50                                                16:25 16:30

















講演
 「子どもたちと読書そして
     図書館とまちづくり」

   

  講師 
        大阪教育大学 非常勤講師                    北村 幸子 氏
 





パネルデイスカッション
「これからの町の読書環境を考える」


  アドバイザー
       北村 幸子 氏
  
  パネラー 
     宗像市企画調整部係長
     永尾 英信 氏
    宮田町PTA連合会会長
     森  昭博 氏
   宮田西中学校教諭
     藤野 紀代子 氏 
     小郡市立図書館奉仕係長
     永利 和則 氏

    コーディネーター
   宮田町地域交流センター
     藤渕 明宏 氏











 一参加者として自分の解釈の範囲でまとめてみました。よって、下の記述は、講師 北村幸子氏の講演そのものでないことをお断りしておきます(一参加者 男性 61歳)。
 講演を聞いて
  思うこと

○ 底辺からの取組の工夫を大切に
 私たちと大阪での住民の皆さんとの共通の思いを語ることができたような気がした。
 講師の先生の住んでいる大阪は、宮田とはぜんぜん異なるのだと思ってはいけない。講師の先生が11年前、「学校図書館を考える会」を御当地でつくられた時は、学校図書館はあまり注目されないでいたそうだ。今は、学校図書館は、実に注目されるようになった。そこにはやはり講師の先生の大きな働きかけでつくられた「住民のグループ」で、学校図書館を普及しようと努められたのだ。図書館の素晴らしさをいろいろな手段を尽くしてひろめようとされた。そのような底辺からの取組を私たち宮田でもやっていきたいと考えた。
 
○ さて、学校図書室と司書のかかわりを中心に述べよう。
 調べ学習といって図書館を利用する子どもたち。そのときの子どもたちは立派に見えたとのこと。子どもたちがのびのびと読書させるコツは、実は「子どもたちにどんな本を読んでも良いですよ。」といって、何を読んだかのような記録も残してはならない。読書指導は、小さな了見ではやっていけない。自由な雰囲気が大切。と教えられたような気がする。私たちも、この宮田において、もっとのびのびと子どもに読ませたいものだ。
 こうして子どもたちから学校司書への信頼が高まっていく。読む自由を保障する。支援していく。休み時間でもいつでも開いていると子どもたちに思わせることが大切。子どもたちが思うこと、たずねたいことにすぐ対応できること。これが図書館でないといけない。司書が大切と考える。
 これらは私たちは言葉としてよく言ってきたものだ。しかし動こうとしなかった私たち。このお話がエネルギーとなって、今後、学校司書、中央公民館の図書室の司書充実をいっそう進めよう。

○ 学校と公立図書館とのネットワークが大切である。
 学校図書館と公立図書館とのネットワークが大切である。そのために学校図書の研修を計画的にやっていくことが大切である。教師も司書も自主研修会を大切にして大いに取り組むことが必要であろう。宮田町にそのための計画・予算策定を要望をしたいものだ。

○ 読書指導への姿勢を述べよう。
 これからの平成14年度からの学校教育においては、読書は丸ごと読ませて楽しませるようになっているとのこと。さらに大事なことは、「読む」ということは、国語教育だけではない。社会科の内容を自分で読む力が大切である。算数科も「資料を使って読む力」が重要になってきている。また、論文を3年かかって作らせたとか。その作成・課題解決ための読書を大切に感じさせていく。そこには「本・読書が素敵よ」と思わせることが大切である。
 
○ 子どもに対する読書の根本を述べよう。
 「絵を読む。漢字があるから読めないと言う子どもがいて、びっくりした。子どもは絵本の絵を読む?と思っていた。そのことを私は大事にしている。小学校一年生には特にそれを大切にしている。」と講師は話されたようである。さて、私たちは、「絵本の絵を読む」このことをわかっていたのか。低学年のみならず読書の根本ととらえておきたい。

 「なんで読書をしないといけないの。」と子どもが尋ねたら、その答えは「では楽しんでみましょう。」という気持ちで子どもにあたっていく、とらえさせていくことが大切である。例えば「冬芽の合唱団」(実演された!感動!!)で集団で本を楽しむ、私も、あははは、と楽しむように・・・。とかく理屈をこねて子どもを説得仕勝ちな私たち、子どもと楽しもう。読書を。
 
○ 子どもに図書館の誘いをする態度を述べよう。
 図書館とは「いろんな人の考えがいっぱいつまっているよ。絵本というのは読み手それぞれにいろんな読みができるよ。」と子どもに感じさせましょうとのこと。講師の先生の実際の「絵本の読み聞かせ」を聞きながら思った。「たしかに図書館がなくっても生きていけます。」(私もそう思う。)「しかし読書って素敵」という機会をつくってあげましょう。素敵な本にであうと、「この本素敵やで」といわざるを得ない本に出会わせ方をすること。「図書館がある、そんなことができる、素晴らしい」ことなどなどを多くの人に知ってほしいと思っている。いや〜がんばろう。宮田町に教育文化の灯が明るく灯るように…。







パネルデイスカッション

 

〔コーデイネィーター〕

 本日の「これからの町の読書環境を考える」のパネルディスカッションを始めたいと思います。私はコーディネーター役の藤渕と申します。
 本町には役場の企画財政課を事務局として町にかかわっている三十数名で構成された「町づくり委員会」がありますが、数年前に構成された、先の「町づくり委員会」における教育部会が、昨年8月5日の「まちづくりシンポジウム」において、テーマ「読書環境を考える」で現状と問題点、そして今後の方途を提言されました。その後、本町の読書環境を含めて、教育的・文化的な方向への関心は、一層高まりを見せていると思われます。
 実は、その高まりの線上に今日の「町の読書環境を考えるつどい」があるととらえたいと思っています。
 そのようなとき、私は、本町の社会教育委員として本年1月末に「生涯学習に関する調査」を実施しました。冊子のグラフをご覧ください。その中の「あなたは、今後、学びたいですか」という設問に対して、町民の方の多く8割以上が「今後も学びたい」と意思表示してありました。これは高い数値であると思います。
 このような町民の学ぶ意思・姿勢をかなえさせていく一つの方途に、この本町の文化的な姿勢構えづくりが必要であろうと考えるわけです。そうしたときにその大きな手立てに「読書環境」があると思うわけです。その読書環境の現状をみつつ、今後の私たちの学びの大きな手立て、一人ひとりを育てる「読書環境」考えて見ましょう。

 そこで、本日は、いろんな方面からまた角度からそのテーマに切り込んでいき、その過程で、これからの町の読書環境を考えたいと思います。
 
 では、そのパネラーの方を簡単に紹介しましょう。
 まず、町外から小郡市立図書館勤務の永利和則奉仕係長を紹介します。永利係長さんからは学校図書館と公共図書館の連携について豊富なお考えとご経験を有してあります。そして公共図書館の館内にとどまらず、館外である学校・地域社会との連携を図り、如何にして「読書環境」を高めようと努めてあるか、それを通して、本町の読書環境の御示唆を頂けないか期待をしているところです。
 次に、本町の学校の読書環境にふれるために、3年以上前から本町において最も早く朝10分間読書の取り組み、大きな成果を挙げてある宮田西中学校から、その図書担当の藤野紀代子先生をお呼びしています。藤野先生から、先の朝読書などの実践における読書の効果と、学校教育を含めて今後の町の読書環境の御示唆をいただけないものかと御期待しているところです。
 次の方は、宮田北小学校のPTA会長、宮田町PTA連合会長でもあられる森 昭博さんです。また小学校1年生、3年生の二児の父親でもあられます。さらに職場が養護老人ホームに勤められ、お年寄りとのかかわりも大いにもち、PTA会長、二児の親、そして老人とのふれあい、そのような三つがつながる、つまり連鎖して、本町の「読書環境」のあるべき示唆を頂けるものとご期待するところです。
 最後の方は、宮田町上有木にお住まいで、町外の宗像市役所勤務の永尾英信さんを紹介します。永尾さんは、現在は企画財務部ですが、数年前、皆様よくご存じの複合文化施設宗像ユリックスにおいて、様々な文化事業の企画運営をご担当されていました。図書、文化をまさに総合的に把握されているとともに、本町の文化・教育環境を、外から鋭い視点で捉え、我々、そして子どもたちが成長していく環境づくりをご提言して頂けるものと期待するところです。

 このパネルディスカッションにおいて、会場の皆様からも、ご質問・ご意見などをいただきながら、パネラーと共に、内容をコーディネートしていきたいと思いますが、終わりの段階で講演をしていただきました北村幸子先生に内容のアドバイスをいただこうかと思っています。   
 では、時間的に厳しい状況ですが、公共図書館→学校→親・老人→そして外からの眼、この四方向から「これからの町の読書環境」を考えていきたいと思います。では永利さんお願いします。

 

永利和則さん

 (小郡市における図書館活動のビデオを通しながら)
 私が、もし、宮田町民だったら、「こんなにしてほしい図書館」というものをまとめてみました。

 一つ目に「いつでも、どこでも、誰でも、何でも」というのが生涯学習のキャッチフレーズとして叫ばれていますが、図書館にも同じことが言えるのではないでしょうか。私が勤める小郡市立図書館は、1500平方mほどの小さな図書館ですが、行き届かない面を補うためにもいろいろなサービスを行っています。

 2番目に「読みたい本が読める図書館でなくてはならない」十分な資料と専門の図書館職員すなわち司書が必要となってきます。読みたい本の予約ができる、買ってもらったり、国会図書館や大学、県立図書館など遠くの図書館など、全国ネットワークで相互貸借し、リクエストに応えてもらうことも図書館の役割です。
 聞き慣れない言葉だと思いますが、アウトリーチサービスといって、図書館を利用するのに障害がある方ヘサービスをすることも、現代の図書館の課題であると思います。高齢者や病気がちの方、幼児などに対して、移動図書館車を回すことも一つあげられ、小郡市でも三か所の病院に移動図書館車が巡回し、今度、新しく、身体障害者の方のために、リフト付きの図書館車が巡回することになっています。このように、病院の中でのサービスも今後重要になってくると思われます。また、今後は宅配も考えていきたいと考えています。在宅で介護を受けておられる方に本を届けるサービスも、現在準備中です。

 3番目に「知りたいことがわかる図書館」でなければならないということです。情報化社会に対応した、情報処理技術者としての司書の役割が大切になっています。「わからないことは何でも図書館に聞けばわかる」ということです。行政や市民のみなさん、そして学校からの問い合わせに、全国の図書館ネットワークを通じて調べたり、インターネットで蔵書の公開なども行っています。

 4番目に「地域の人と集う図書館」でなければならないということです。今、ボランティアということがよく叫ばれています。直方市の図書館では二百人ものボランティアが登録されていると聞きますし、いろいろなところでボランティアの活躍がきかれますが、そういったときのコーディネーターとしての司書の役割が出てきます。

 5番目に「宮田町の将来のことを考えている図書館」でなければならない。さまざまな行政課題、例えば少子高齢化、国際化、男女共同参画社会、環境、福祉、人権、こういった問題を図書館としてどういうふうに解決していくか、図書館司書が行政マンとして与えられている役割ではないでしょうか。図書館サービスの中に、どのように具現化していくかを考えなければならない。

 終わりに、菅原タカシさんの言葉に「図書館を始める」という言葉があります。図書館のハコものだけを作るのではなく、その中でどのようにサービスし、住民のみなさんが利用しやすい図書館をつくっていくべきか、ということがいちばん大切なことではないかと思います。


〔コーデイネィーター〕

 永利さんから公共図書館と学校とのつながりをビデオを通してご提言頂きました。そこには公共図書館によって、学校の子どもたち、町民の方々の読書への関心が高まっている、まさに読書環境を醸成してある内容を臨場感をもって知ることができました。
 では学校では、今の子どもたちは本離れしていると、7,8年前のデータを見ているとそのように記述してあるのを聞きます。さて宮田西中では今どうしてあるのでしょうか。
 藤野先生よろしくお願いします。


藤野紀代子さん


 学校図書館という立場から、子どもを取り巻く読書環境についてお話をさせていただきます。

 まず、学校図書館というのはどのような目的があって置かれているのかというと、やはり、今いちばん言われているのは、二つの役割があるということです。一つは、特に中学校では思春期という難しい時期を迎えている子どもたちの人間形成の場であるということです。もうひとつは、新しい学習のしかたの中で、調べ学習といっていろいろな課題を資料などで調べることによって解決していくという学習が増えています。そういう場での資料センター、情報センターとして、また学びの場としての学校図書館の役割があります。この二つの点から西中の学校図書館を見てみたいと思います。

 ここ何年聞かの生徒たちの読書に関する意識はすばらしく向上してきていると私は感じています。その大きなきっかけとなったものに、朝の十分間読書の取組みというものがありました。これは、朝、学校に来て、チャイムが鳴ってから十分間、自分が好きな本をただ読むというだけの取組みなのですが、これを始めてから、生徒たちがだんだん変わってきたというのが、手にとるようにわかってきました。この朝読書は西中では四年前に始めました。今は町内の中学校はどこも朝読書というのが始まっています。
 始めた当初は、読書のことだけでなく、「遅刻が減る」とか「集中力がつく」など欲張りにいろいろな目標を持って始めましたが、最初に気がついたのは、図書室に本を探しに来る子が増えたことです。そして、本に関する話題が子どもたちの間で増えてきたということがわかりました。子どもたちの変化を受け、それならば、図書室をもっと魅力的な場所にしようと思い、図書に関する掲示物を増やしたり、新刊案内をしたり、授業に至っては、恥ずかしながらもブックトークのやり方の勉強を試みたりもしました。また、図書委員会を中心に「西中読書週間」を独自につくり、最初の年は昼休みを利用してのビデオ上映を行いました。

 翌年はこの読書週間を学校行事と位置付けし、集団読書や読書集会を実施しました。読書集会では、新刊紹介や図書委員による読み聞かせ、今年は朗読ボランティアのみなさんに来ていただいてパネルシアターを行い、生徒たちにもとても好評でした。

 読書についての行事をやっていく中で、まず、図書委員の生徒たちが楽しいという思いを持つてくれるようになり、特に学習に興味があるというわけでもない生徒たちも、図書館に気軽に本を探しに来ることが多くなり、「本が好き」「図書館が好き」という生徒たちがだんだん増えている傾向にあると思います。

 このように、西中では、読書の場としての図書館はずいぶん馴染んできたのですが、もうひとつの学習の場としての図書館の役割は、まだたいへん遅れていると思います。図書館を授業に生かすためには、授業に役立つ資料がしっかり揃っていなければなりません。辞典や新聞、雑誌、年鑑、またコンピュータなどの視聴覚機器など、調べ学習を行う上で必要なのですが、西中ではまだここまでの情報センターとしての機能は果たされていません。西中では、調べ学習に使うためのいろいろな資料がいろいろな場所に保管されています。学習に合わせて、それらをきちんと準備することもままなりません。また、それらをまとめて図書館に保管できればよいのですが、西中には、それだけのスペースがありません。そんな問題解決のためにも、図書館の専門教諭、司書が必要なのではないかと思います。
 そのことについて更に述べますと、図書室を気軽に利用できる開放的なスペースにし、資料やパソコンなどのOA機器が整備され、全ての学習を図書室に行けば完結することができるようになれば、無駄なく、早く、有意義に学習を進めていけるのではないかと思います。これからの学校図書館を考えると、心に響く図書や学習に役立つ資料・本がそろっていることであると思います。掲示物をつくるにしても、本の紹介をするにしても、図書館の専任の人が必要であり、学校には大事であると思っています。私は、図書担当といっても、学級担任であり、教科指導もしているし、その他諸々の仕事に追われているのが現実で、まことに図書に関して手薄な状況です。専任の司書とか司書教諭が望まれます。

 終わりに、学校で調べ学習をする際には、学校の図書室は、すぐに対応できる文化基地であって地域の中にある公共図書室・図書館との連携といったものがこれから先、もっと大事になってくることでしょう。


〔コーデイネィーター〕

 このように学校あげての取組でしたが、実は、宮田西中学校の生徒は、毎日読書していると100%の生徒が答えていました。まさに読書により学校が落ち着き、生徒がたくましく生きていく力を高めていると言った効果が如実に表れている証でもありました。宮田町内において他の全小中学校においてもいろいろな取り組みがなされ、ある新聞では、全国で7,800校の学校が「集団読書」行っていると聞きました。
 では、このように学校ではこうした努力がなされているようですが、それを受けて、親としてまたPTAの立場として、さらに老人への慈しみの立場として、読書環境を高めるにはいかようにあればよいのかをお話頂きましょう。


 森 昭博さん


 私の2人(小1・3)は、読書に縁遠い子どもに育つのではないかと思っていましたが、幼稚園の頃から絵本の貸し出しがあり、母親が読んでやっていたこともあってか、今は読書に興味を示す子どもであると思っています。このことは、今いわれる「ブックスタート」になっていったようです。現在、小3の子は、学校で朝10分間の読み聞かせをやって頂いています。その成果が大きいとは思います。先日は推理小説ぽいものを読んでいたと母親が驚いていました。
 それに幼いとき2人の子には、映画も見せていたんですね。ハリーポッターの映画をですよ。その数年たって、私がその本の読み聞かせをしたのですが、その中で子どもにとって知らない言葉=「風景」という言葉が出てくるんですが、その風景の言葉にさしかかると、2人のどちらも風景の表しかたが豊かになっていると思いました。映像でのイメージによって、本を読んでやったとき、更に豊かになったのでしょうね。

 さて、ある図書司書を目指している学生さんに「いつから、また何がきっかけで本が好きになったのですか」と聞きますと、小学校低学年のときに風邪で休んでいたときに、先生が家庭訪問して、ある本を読んでくれて、それが本を好きになるきっかけになったとのこと、そしてそれからスタートして専門の図書司書を目指しているとのことでした。ここで悲しいかな、この学生さんは宮田町の中央公民館の図書室を利用したことがない、とこのこと。実に悲しく思いました。

 以上のことで共通していえることは、小学校低学年の取組は、幼いときのブックスタートで高めた読書力をさらに高めていることでしょう。このことは、家庭の取組が大切でしょう。
 このことから次のようなことを考えます。それは現在、宮田の小・中学校で読書に力を入れて頂いてはいるが、これを家庭に持ち帰ってもその力を伸ばす現状になっていないということを直視しましょう。現代っ子にはテレビゲームなどが氾濫し、読書の力を伸ばす継続性が薄いのではないか。そのためにも親も公共図書館などを積極的に覗きましょう。読書への関心を親も持つことが大切と思っています。

 話変わりますが、お年寄りの読書環境をちょっと考えてみたいと思います。
 私の勤めの老人ホームでは、お年寄りは、自由な環境とはいっても、やはり限られた施設・環境で生活しています。時間的には余っています。そのためか読書を望んでいる老人は多いです。しかしその環境は整っていない。老人が自由に過ごすことも大切とは思いますが、生涯学習の中では読書はウエイトは重いことでしょう。是非お年寄りの読書環境も真剣に考えたいと思います。

 そこで、公共的な読書に関する施設の充実もありますが、お年寄りへ、自由に行ける総合的なコミュニテイー施設がほしい。お年寄りが病院に集まるというのが一時期はやっていたと思います。そこには公共的な施設の不足とかあっても入りにくいとかあったようですね。
 よって、そのようなお年寄りが通いやすいコミュニテイーがほしいなと思います。しかし、その箱はできても、ソフト面の配慮が必要でしょう。そこにはもちろん図書館を含む形での「まちづくり」のコンセプトが大事ではないでしょうか。そう思われませんか。


〔コーデイネィーター〕

 ありがとうございました。いや親として子どもへの熱い思いはありますね。子育ては一過性のものですから、日一日、その時々が勝負ですよね。それを率直に語って頂きました。またお年寄りのふれあいのご経験を通しながら、総合的な地域コミュニティー的な施設に図書ゾーンというべきものが設置されるとよいとのサジェッションを頂いたようです。
 では、そのような総合的な文化施設に携われるとともに、町外から本町を眺めてあった永尾さんにこれからの読書の環境はどうあるべきかのご意見を頂きましょう。


 永尾英信さん


 生まれも育ちも、そして今も宮田町、しかし勤務は宗像市、「町民」兼「町外勤務者」の立場から、3点を提言したい。まず外から見た宮田町のイメージ、2点目は、宗像市の文化施設の紹介、3点目は、図書館などが町づくりに果たす役割、つまり文化行政を、私の持論ですが話をしたい。

 1点目は、外から見た宮田町を語りましょう。10年このかたトヨタ自動車がきました。工場が、そして関連企業もきて活気がでてきています。本町はかつて市制しけると思ったりもしたほどです。しかし、今回のトヨタの来宮によっても授業員の住宅は来なかった。その理由は、@交通の便が悪い。勤務地へのことではなくて、福岡市、北九州市への便が悪い。Aは下水道など公共施設などのインフラ整備(インフラとはインフラストラクチャーInfrastructureの略で水道とか電気とか人間生活の根底にある経済基盤のこと)がされていない。B教育文化環境が劣っている。これは選択の要因として大きかった。高校進学、文化生活を送る…、残念ながら薄い。確かに宮田町はイメージは良くはなっているが、まだまだほど遠い。

 2点目に入りましょう。今、皆さんに手を挙げてもらって3分の1の人は宗像ユリックスを利用していることがわかりました。この施設は総合的な文化施設です。プール、ジムなどもある。宗像市の過去は「卵と教員が名物だ」といわれたときもあります。文化的な土壌があったのだろう。
 しかし、10数年前のことですが、北九州市、福岡市の真ん中に位置する好条件からか人の流入が続いたせいか、住民に定住意識が低い。「おらが町」という意識が低かったのです。
 そこで、行政は、「文化を基調にした町づくり」をやっていこう、それに加えて「コミュニテイーを大事にしていこう」ということになり、この二つが問題に対する解決策となった。そこであの宗像ユリックスができたのです。
 その効果は、@文化の振興になった。市民の文化意識が高まりました。例えば、自由大学、フイルハーモニー結成など誘発されました。 A宗像市のシンボルになった。そのことが  B宗像市のイメージアップに繋がった。それによって大学ができたり、企業誘致したり、人口が増えました。つまりは、町が文化的になったのです。

 最後の文化施設が「町づくり」に果たす役割を述べましょう。
 どの町にでもマスタープランがあります。このプランには、「教育文化の振興」とか「文化薫り高い町づくり」だとかあるようですが、要するに文化の振興が柱となっています。ではどうしてそれを行政が柱とするのでしょうか。その根拠として森啓氏の本に「文化が高まると、そこに住む人々の生活態度がゆとりあるものに変容し、町の雰囲気が美しく楽しいものへと変容し魅力的になる。」とあります。

 文化行政の中で、図書館の重要性を述べてみましょう。何といっても老若男女利用できるということです。このような広域に対応できる図書館は、最も文化的な環境を高める強いと思います。こうして、町づくりへのストーリーが図書館を中心としてできていくということです。自己学習の場であり、地域の文化の芽を咲かせる場となります。
 

〔コーデイネィーター〕

 以上4名の方のご意見を頂きました。公共図書館の意義の高さ、学校における読書の意義、親としての願い、総合的な地域コミュニティーに位置する図書館の設置などご意見を頂きました。ここにご参加の皆さんそれぞれに、これからの宮田町の読書環境のあるべき姿を、お考えになっていたことでしょう。
 そこで、皆様にご質問を頂きましょうか。ご意見でも結構です。
時間の都合上、皆様のご意見・ご質問をいくつかにまとめて、パネラーにそれを振ってみたいとも思います。




 フロアからの発言概要から、まとめへ
 

◆口火に 「図書館を充実させてそれを私たちが利用していくことは大切なこととは思いますが、そのことによって、本が売れず、出版業界が困るのでは?」

 まさに読書環境整備にかかわる本質的な質問・意見が出ました。
 そこで、右に…→


 永利さん及びアドバイザー北村先生から「いえ、図書館からの本が気に入ると、自分のものにしたくなり、買い求めていくようになり、本はかえって売れるようになります」と説明がありました。読書というのは読み手をその世界に引き込む強い力があるという、読書の本質を見た思いがしました。
 そこで、コーデイネーターは、そのようにまとめました。
◆「私は、読書は人づくり、それは町づくりになります。町づくりは、人づくりですよ」
〔コーデイネィーター〕

 自分の読書のために、自分の家族の読書のために、学校や近所の子どもたちのために、からだの不都合や外出不自由な人のために、
 自分一人でもできること、仲間があればやりやすいこと、学校や公民館や福祉施設や役所に期待すること、今日からでもできること、お金がかかるので長期計画をもって、とりかかるべきこと
 等々さまざまのことがあります。今日はそのような取組の方向性を皆で確認し合ったと思います。

 さて、今、総務省は、「わがまちづくり支援事業」を推進しています。この事業は、国が市町村とともに、「住民が自ら行う事業」や「住民と行政がいっしょに行う事業」などを応援するものです。
 せっかくの機会を設けましたから、わたしたちも皆で「町の読書環境を高める」という「わがまちづくり活動」を継続できるとよいと考えています。

 
◆「家庭教育の大切さ、その中にしめる読書の意義をうったえます」「人生は、教養が大切です。楽しみも必要です。集中力が大切です。そこに読書の意義をよくとらえて、その環境を整えましょう。町あげて、学校も協力を。もちろん家庭も…」
◆「悪書の追放を徹底して図りましょう。この点を私たちはおろそかにしている。大人の責任は大きい。」
◆「私は、町外の者ですが、この会のことを新聞を見てやってきました。
 宮田町に申し上げたいことは、このような素晴らしい会をどんどん蓄積していって、高まった熱い気持ちを、図書館の充実へいってほしいと思っています。」

〔コーデイネィーター〕

 読書環境は、町づくり、人づくりに密接です。本日の会は、パネラーの方、行政の方、そしてここに集いの参加者の皆さんで共有した「宮田町の読書環境づくりの本」の一ページを開きました。今日、多くの提言・意見の言葉を頂きましたが、そのことを踏まえながら、今後の活動で更に蓄積していって行きたいと思います。
 私たち企画運営したスタッフは、このように実のある会になったことは、講師の先生、パネラーの方々、参加者の方々、そして、このような企画を支えて頂いた「宮田町役場企画財政課」の方々、また多くの関係者に感謝申し上げ、皆様一同で本会の大きな成果を喜びたいと思いますので、ここに集われた皆さん拍手をお願いします。ありがとうございました。これで終わります。
 


 <余韻> 
 第3次宮田町総合計画(2001〜2010)から思うこと

 
 標記の計画書の73pに「教育・文化のまちづくり」として、@「生涯学習推進体制の確立」及びA「生涯学習施設の整備と充実」があげられている。

 その@に「町民と行政が一体となった推進体制の整備を行う」とのこと。これは今言う「パートナーシップ」であり、互いに意見を交換し、行政側の方は、住民の声を十分に反映することであろう、ととらえる。
 しかし、ここで大切なことは、住民側は、住民の意志ができるだけ全体的になるよう努めないといけない。例えば、この「読書環境を高めよう」とする住民の願いは、多くの人の高まりでないといけない。今回の催しは、その一ステップにしたいものだ。その意味で、今回は、意義あるものと言えようか。

 上記のAに、「図書館を核とする生涯学習拠点施設の整備計画を策定します。」とある。まさに読書環境の整備の具体的な最終到達点は、それであろう。しかし、それまでの私たち住民の高まり、盛り上がりがいる。生涯学習と読書環境とのコンセプトにした住民の意志・態度がいる。今回の講演・パネルデイスカッションにおいてもその声は大きかった。

 さあ。今回の取組は、その読書環境整備の一ページに深く刻まれていると解釈したい。また、次のページに新しい高まりを記そう。
 

 〔追録〕

 このページを作成した数日後、「図書館法」「学校図書館法」「子どもの読書活動の推進に関する法律」等の図書館に関する法規等のリンクを思い立ちました。ご利用ください。

 なお、「子どもの読書活動の推進に関する法律」は、平成13年12月5日可決されて、その月の12日に公布されています。

 日本図書館協会

   自由宣言倫理綱領望ましい基準任務と目標図書館法ユネスコ公共図書館宣言図書館専門委員会報告学校図書館法学校図書館専門職員の整備・充実に向けて
 (この欄は「日本図書館協会」のHPを引用しています。)

 「子どもの読書活動の推進に関する法律」

    中央教育審議会 新しい時代における教養教育の在り方について(2002/02/21 答申)…子どもの読書活動の推進をうたっている。


 「子どもの読書活動の推進に関する法律」についての

 ○衆議院文部科学委員会における附帯決議

 政府は,本法施行に当たり,次の事項について配慮すべきである。

一 本法は,子どもの自主的な読書活動が推進されるよう必要な施策を講じて環境を整備していくものであり.行政が不当に干渉することのないようにすること。
二 民意を反映し、子ども読書活動推進基本計画を速やかに策定し、子どもの読書活動の推進こ関する施策の確立とその具体化に努めること。
三 子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、本と親しみ、本を楽しむことができる環境づくりのため、学校図書館、公共図書館等の整備充実に努めること。
四 学校図書館、公共図書館等が図書を購入するに当たっては、その自主性を尊重すること。
五 子どもの健やかな成長に資する書籍等については,事業者がそれぞれの自主的判断に基づき提供に努めるようにすること。
六 国及び地方公共団体が実施する子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業への子どもの参加については、その自主性を尊重すること。