学社融合の実践を見た!



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  はじめに なぜこのページをつくったか?
 
 昨今、生涯学習振興が盛んに唱えられています。その中で「学社融合」を一層促進せよという大きな声を聞いています。そのことは私自身も、地域の人々、学校教育の活性化のためにも是非おし進める課題であろうと考えている。
 しかしその「学社融合」の説得力のある実践事例にふれることがないようであり、学校教育と地域社会との連携という範疇から融合への論理をつくり得ず、もう一つ学校に、そして地域、行政に説明できない点があります。
 そのようなとき、平成14年5月18日(土)、福岡県立社会教育総合センターにおいて、第21回中国・四国・九州地区生涯学習実践研究大会が行われました。それに初めて参加し、研究発表第3会場に臨み、その発表内容に大きな感慨を持ったので、ここにそれをとりまとめてみました。
 なおこのページは、一参加者・私の「自己学習」の一過程にしかすぎないことをお断りしておきます。 
 




「匹見峡紅葉ロードレース大会」への
小学生の企画・運営参画
(大会へのボランティア)

  〜島根県美濃郡匹見町立匹見小学校「総合的な学習の時間」の取組を通して〜

※本ページ内容は島根県美濃郡匹見町立匹見小学校から許諾を得ています。


受付、閉会行事メダル渡しなどの光景

匹見小学校の子どもたちが

 大会ボランティアとして
参加するようになった経緯


 

 町教育委員会主催で匹見峡紅葉ロードレース大会がここ数年続けられてきましたが、大会がマンネリ化したためか、参加者が減少してきていました。
 地域の人々、行政の方々は、町として、町づくり(地域おこし)の大切な活動として大会を盛り上げたいと願っていました。

 近隣の益田市をはじめ当地は、かねてより生涯学習を町上げて取り組んでいるとのことです。そのような背景にある匹見町の小学校の「総合的な学習の時間」において、このイベントに子どもたちに企画・運営をボランティア活動の一環として参画させたようであります。
(下にその経緯関係図を示します)

 ※ 発表を聞いての思い1
 
まず思い切った子ども自身による企画運営参画の発想に感動しました。たしかに左写真にあるように子どもたちは、大会運営にも参加してい、生き生きとして活動しました。









右のようなスタンスで取り組まれた。








   

 
地域の方


 
  • 町づくり(地域おこし)の大切な活動として盛り上げたい
  • 参加者が減少している
  • 大会のマンネリ化
 
匹見峡
紅葉
ロード
レース
大会

 11月3日
 文化の日





 
 学 校



  • ボランティア活動の体験の場(総合的な学習の時間)
  • 体育科の学習(持久走)の成果をためす場
  • 町づくりに携わる地域の方とふれあうことにより、ふるさとを愛する心を育てる




ロードレースを目前にした学校の取組
月/日 学校・学級の取組  横への調整
10/ 1   職員会議で提案














10/ 2
  • ボランティアとして参加するねらいを児童に理解させる。(学級活動)
  • ボランティアとしてどんな活動がしたいかを話し合う。(学級活動)
10/11    教育委員会と打合せ
10/16 保護者あて文書配布
10/20
  • 活動内容決定
10/23
  • めあて決定
  • 大会当日の活動のための準備
     メダルつくり
     旗つくり
     横断幕つくり など
11/ 3
  • 匹見峡紅葉ロードレース大会



主な学年ごとの取組内容
学年 内    容
1年 各学年とも
メダルつくり
 おうえんのはたをつくる
2年  おうえんのはたを作る
3年  受付、応援のことばを考える
4年  誘導(写真撮影)の仕方を練習する
5年  ・取材活動をする
 ・社会科「私たちの生活と情報」において「ロードレース大会」PRビデオ制作
6年  ・応援のメッセージをかく(模造紙)
 ・開会・閉会式などの計画をする


 実践事例の
一つ
<5年生ビデオ制作>
5年生制作ビデオの一部
<紅葉ロードレース大会を生かした5年生の総合的な学習の時間の取組み>

  社会科の「私たちの生活と情報」という単元の学習を生かし、総合的な学習の時間に「紅葉ロードレース大会」をPRするビデオを制作することにした。
 PRビデオを制作することで、町づくりの行事に主体的に取り組むことができるし、地域の自然のすばらしさや人の温かさを再認識できると考えた。
 児童は、『たくさんの人に参加してほしい。』という思いをもち続けて、計画し、準備・取材をした。

     
子どもの感想

 わたしのめあては、とにかく笑顔です。
 応援するとき、取材をするとき、走るとき、全部笑顔でできました。特によくできたのは、取材をするときです。相手の方も笑顔で答えてくださったのでわたしも最高の笑顔でインタビューしました。
 わたしたちの目的は、たくさんの人に参加してもらうためです。来年はもっとたくさんの人が参加するかもしれないと思ったときがありました。それは、県外から来られた人が帰るときに、「また来年も、友達誘って来るね。」と言ってくれたからです。本当にうれしかったです。

          


 ※ 発表を聞いての思い2
  
 たしかにこの展開は、教師サイトの面があるかも知れません。しかしビデオ制作に「たくさんの人が参加してほしい」という子どもたちの言葉のように、子どもたちの姿勢は、主体的なものになっているようです。素晴らしいことです。感想をみてください。「笑顔を見ることです」こんなにまで子どもたちがやる気になって、そして結果に充足感をもち、そしてさらに参加者から「来年も来るね・・・」いいですね。こんなに大きな「やりがい感」、子どもたちはおそらく大きな喜びを感じたことでしょう。ある子は、感動の涙がにじんだとか聞いています。




大会に参加した町民の感想より
感         想 
発表の提示の一部
○ 子どもたちが町づくりの活動にボランティア参加したことについて

・「児童がメダルを渡したり、大きな声で応援したりしてくれたことで、とても活気のある大会になってきた。」

・「大会運営に参加することは大変かと思うが、子どもたちの参加により、町民全員参加の大会の雰囲気がでて自分たちもやりがいがあった。」

・「子どもたちが作ってくれたメッセージ入りのメダルは、とてもうれしく、大切に飾っている。」

・「子どもたちに小さいうちからこういった町づくりの体験をさせることは、地域おこしの活動の足腰を強めていくことにつながると思う。これからも、ぜひ続けてほしい。」

○ 5年生『PRビデオづくり』について

・「ビデオの出来上がりのすばらしさに感動した。子どもたちの手でよくここまで作り上げたなと思う。最後は、涙が出るような思いだった。」

・「この町の大切な行事を、今年のことだけでなく、来年、再来年へと発展させていこうとする子どもたちの考えや行動力は大人顔負けです。私たち大人もしっかりしなくては…。」

・「大会に参加された方々、特に町外からおいでになった方々の思いや感想が聞けてよかった。参加された方々が、この大会をこんなに大切に思ってくれている気持ちに応えるように来年から頑張らなくては。」




 おわりに   

 ※ 発表を聞いての思い3
 

 町民の方々の感想文に全てが表されているようです。
 一つに子どもの運営参加により、活気を感じたこと。
 二つ目に、子どもの企画運営参加により、町民全体の行事に感じたこと。
 三つ目に、子どもの手作りを大事にしようとする心情を知った子どもたちは、将来の「町づくりの担い手」になる意識を持たせたこと。
 四つ目に、子どもの参加は「町づくりの足腰を強める」良い表現ですね。素晴らしい。

 こうして、地域の人々に受け入れられ、期待の目、励ましの目、希望の目、・・・たくさんの温かい心を子どもたちは感じて、更に何かに取り組もうとする姿勢が高まっていると感じました。
 
 教科の要素も、美術に、国語に、社会に、理科に、音楽に、そして体育に・・ほとんどの教科を包み込んでしまう実践です。それも学校と地域、家庭、まさに学校と社会教育が融合したかのような「学社融合」の教育実践を目の前にして感動しました。行政当局、特に教育委員会の素晴らしい御指導に敬意を表したいと感じました。

 私の宮田町に、既にこのような実践があるのかも知れませんが、私の学習のまとめにすすとるとともに、本町の教育実践のためにお役に立てばと考え、情報提供を行いました。

 匹見小学校の皆さん、ご協力ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。     A.H


 

 


<参考資料>

 
学社融合とは


 学校教育と社会教育との連携・協力をいっそう強く推進するために、文部省が用いている語。学校教育と社会教育とが、一体化して生涯学習を進めようという意味である。ただし、用語としてはその問題が指摘されてもいる。すなわち「融合」は、一つのものが完全に融け合って、別のものになることを意味する用語である。核融合などというのはその代表的な用例だろう。つまり、学校教育と社会教育とが融け合って全く別物になる必要があるのかという議論である。
 その点、生涯教育の提唱者ラングランは、生涯教育のキーワードの一つとして「統合」という語を用いる。「統合」の代表的な用例は「日本国憲法」にある。すなわち、第一条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、…」である。ここで、日本国民「統合」というのは、日本人がみな融け合って、別物になるという意味ではない。一人ひとりの日本人が、それぞれ個性的な人間でありながらも、日本という国に生きる人間として、共同体としてのまとまりを持つという意味だろう。
 つまり、生涯教育(生涯学習)の基本理念に立てば、むしろ、「学社統合」の用語がよいではないかということだ。 学校教育と社会教育とがそれぞれの独自性を保ちつつ、まとまりのある機能を果たそうという意味で、むしろ現実性も高い。ただ、「融合」を使用した意図は、おそらく、学校教育、社会教育関係者の連携・協力をいっそう強力に進めようという点にあったろうことは想像に難くない。

              『最新教育基本用語2000年版』(小学館)から




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