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子どもの発達特性を知ろう


 皆様には、十分にご承知のこととは存じますが、子どもにはそれぞれの発達段階に応じて、成長していく特性を持ち合わせています。とかく、子どもには期待感が強すぎたり、逆に過小評価したりして、子育てに悩んだりしてある声を聞きます。
 そこで、やや固い内容かも知れませんが、ハヴィガーストの「発達課題」をもとにした、発達の特性があります。それを今一度見てみましょう。きっと子育てにお役に立つことでしょう。
 なお、私たち大人にも「発達課題」があります。後半にそれを載せていますのでご覧ください。
                        本HP担当者


1 1〜6年生の発達特性 
● 1年生
<体の様子や習慣>
 幼稚園、保育園時代の特徴を残したままの様子が見られ、いわば、連続的な成長が多く見られる。しかし、手、足をはじめとして、急速に子供らしさが増し、活発な活動期に移行する。
 習慣は、一般的には、基本的な「しつけ」程度のことはできるようになっている。しかし、いろいろな条件を背負った子供たちであるから、その内容や習熟の程度はまちまちである。
<情緒,関心、意欲>
 一般的にこの時期の子供は、「なぜなぜ時代」といわれ、親や教師に毎日、質問攻めをするのが特徴である。興味の継続と発展を促す対応をすることが大切であろう。
 また、この時期は「まねっこ時代」でもあり、大人や周囲の年長者のしぐさや行動を意識的、無意識的に真似て、次第に大人の社会生活に近づこうとする。
 また、自立しようとする強い傾向がある反面、甘えたりして愛情を求めようとするのもこの時期であり、情緒の安定は最も大切な視点であろう。
<思考力、技能>
 「空想時代」の最中であり、自分がすぐ虫になったり、雲になったりして「アニミズム」の代表のような時代を過ごす。それは同時に、自然や環境が生きていて自分と話すことができると感じていることであり、童話期とも言われる。
 アニメ、動物物語、昔話などを好み、自然に触れて感性豊かに経験を充たしていく。
 玩具、遊具など、よくも飽きないと思われるほどに繰り返して扱い、そうした動作の繰り返しによって次第に確かな筋肉の操作ができるようになる。つまり、「体で覚える」時期といえよう。
<社会性、道徳性>
 まだ、自分中心であり、強い自立への願望があるにもかかわらず、何事によらず助けが必要となる。しかし、自立を損なうことにならないように、任せることも大切となる。
 道徳的な規範は、まだ権威のある大人、つまり教師や親に依存し、教師や親がいいとすることをいいと判断し、いけないといっている事柄をいけないと判断する時代である。
● 2年生
<体の様子や習慣>
 体の抵抗力も運動能力も増し、安定した成長期に入る。反面、自我の発達も著しく、せっかく身についた生活習慣も乱れがちになる。そのこと自体は成長の過程であるから理解されても、乱れをそのままにしておくと、その後の生活の乱れを誘発することになり、適度の歯止めが必要となる。
<情緒、関心、意欲>
 少しの抵抗やストレスには耐えることができる強さも身についてくる。情緒は引き続き安定していて、興味、関心は外に向かって強い。「なぜなぜ時代」は次第に強くなり、まわりの大人には迷惑になるほど「なぜ」を連発するようになる。
 アニミズムも頂点に達し、次第に醒めていこうとする過渡期に差しかかる。動物映画、アニメ、冒険ものにも関心が強まり、「夢中」になる時期である。
 「まねっこ時代」は次第に薄れ、次第に友達の存在が気にかかるようになる。
 感性は非常に豊かになり、感情、情緒に幅が出始める。大人の感情に近づき、大人の話に口を入れるなどの「おませ」ぶりもでてくる。

<思考力、技能>
 「空想時代」は更に強まるが、一方で、次第に冷静に時日に則して関心が高まっていくようになる。物に則して観察力が増し、動きに応じて対応できるようになる。したがってこの時期の思考は「吸収期」でもあり、乾いたスポンジのように周囲の情報、刺激をぐんぐんと吸収してしまう。
 また、活動範囲は急速に広がり、動きも激しさを増していく。工夫する喜びを知り、トリックを策して楽しんだりする。手足の器用さも増し、かなり細かい仕事もこなすようになる。しかし、その程度は低く、成功も失敗も沢山経験することになる。

<社会性、道徳性>
 特徴は、自分中心であり、次第に他の人達との関係に視野が広がり始める。
 規範となる価値の基準は、大人、つまり教師や親のような権威のある人達の言動によることが多い。
 学年の終わりに近づくと、次第に「悪い事だから悪い」といった価値自体に行為の基準を求めるような発言も出てくるが、まだ、他律時代からの脱皮は不完全である。
● 3年生
<体の様子や習慣>
 体は丈夫になり、運動能力も増す。特に瞬発力やバランスが急速に伸び、自転車に多く乗り始めるのもこのころである。少し痩せたスリムな体で、柔軟性に富みしなやかな弾力性のある体になる。まさに自立への重要な特徴を示し始める。
 動きも活発で、技巧的になり、手足の巧緻性も次第に豊かになる。
 生活習慣は、日々の活動が活発になることに反比例してお座なりになりがちで、要領よくこなすようになる。反発したり、時にはごまかすこともおぼえるようになる。

<情緒、関心、意欲>
 友達関係が広がり、明朗になる。よく喋り、活発に動きまわる。ただ、明朗の段階に止まらずに、次第に「ふざけ」をおぼえ、悪ふざけにまで発展してしまうことがある。このことは、友達に受けるため、急速に上達してしまうが、学習や社会的な成長としては、マイナスに作用することが多い。
 この時期は友達との関係がもっとも重要な要因となり、友達にどう思われるかが行為の基準となることが多い。
 また、社会性の発達とともに、所属社会、所属集団の中での役割取得が重要な要素になる。自分はこの仲間の中でこういう位置を占め、こういう役割があるという自覚があることが大切である。

<思考力、技能>
 思考の型は次第に現実的になり、空想からの脱皮が見え始める。
 生活の基盤が広がりはじめ、近所と学校の往復を中心とする生活圏が、次第に地域へと広がり、町や村全体が意識の対象になってくる。
 読書も、次第に漫画や科学ものにも関心をもちはじめ、事実に則した即物的なもの、現実的なものへも理解の目が届きはじめる。いわば科学的思考の目が急速に発達しはじめるのである。

<社会性、道徳性>
 社会性の急速な進歩に従って、道徳性も変化が見られる。次第に何故その道徳性が規範として必要なのかを自覚的に理解しはじめ、道徳性の発達段階では一段階前進する時期といえる。
 教師や親に対しては、次第に批判的になり、反抗的な態度をとることすらある。


● 4年生

<体の様子や習慣>

 運動能力が確実になり、敏捷性、巧緻性も確かなものになる。身長も伸び、体重、座高も見違えるように増え、内臓器官の成熟が目ざましい。体力がついてくると、いきおい活発になり、それとともに生活習慣の基本が崩れることも多くなる。言葉もぞんざいになることがあり、大人言葉を使うことに大人になったような快感を覚えるのもこの頃である。
 一方では、次第に個性がはっきりと表れるようになり、生活の仕方や態度にも趣味や好みがはっきりとしはじめてくる。

<情緒、関心、意欲>

 自然への興味が増し、本格的に科学する時代の幕開けともいえる。宇宙への関心も次第に高まり、疑問も思いつき以上に根拠のあるものに育ちはじめる。
 他方、友達が急速に増えることから、社会的適応に関係する悩みも増えていく。まだ、男女の関係の意識は薄い。
 情緒は大人並に豊かになり、大人と同じような価値への感情も揃いだす。低学年期とは質的に異なる関心を示すことも多くなる。
 学習などへの意欲も高まり、適切な課題意識をもたせれば、学習への取り組み方も熱心で意欲的になる。「熱中」の状況も増えて学習することの喜びも深くなる。

<思考力、技能>
 思考の範囲は、生活圏の拡大とともに広がり、生活に直結する地域だけに止まらず、地方や県レベル、更には国にまで理解できるようになり、思考の深さも、次第に論理的になる。原因、結果の因果関係に興味を示し、論理的に矛盾することは敏感になる。
 しかし、まだ、そうしたレベルもバランスを欠いていることが多く、考えることと技能や表現能力が伴わず、思い通りに行かないことへの焦りも見せることがある。
 記憶力は伸びて、過去から現在に到る多くの事柄が情報として生活に活かされるようになる。

<社会性、道徳性>

 社会性の発達の目ざましいことは理解されるが、当然の結果として、規範が仲間内にあるので、更に広い社会生活や大人の規範とは合い入れないものも生ずる。
 学年の後半になると、次第に集団の構造にも変化が表れ、大人のような冷静な判断に基づく生活ができる、ようになる。


● 5年生 

<体の様子と習慣>
 成長の個人差が大きいことが一見してわかる。特に、性的な成熟に差が表れ、女子にそれから男子に次第にそれぞれの性的特徴が目立つようになる。性的成熟は単に体だけではなく、心や考え方、感じ方にも表れ、とりわけ、異性に対する感情が新しい進展を見せる。
 生活上の習慣は、中学年の時期に比べて落ち着きをみせ、身体的にも社会生活上にも自分に必要な事情が生ずることと合って、自分から主体性をもって守るようになる。人にどう見られるか、どう思われるかなど社会生活が直接の意味をもつようになる年頃であることによる。

<情緒、関心、意欲>
 教師や親が自分を他の者と公平に扱ってくれているかを非常に敏感に感知する。次第に大人になっていくことの表れでもあるが、教師や友達に一人前に扱ってもらえるか、大切にされているか、愛されているかなどの不安と欲求が、公平感に表れる。
 こうした状態は、愛情、友情などへのデリケートな深さをもちはじめたことを表し、その他の価値あるものへの成熟を示している。
 教師や大人の願いや期待に沿いたいと願う一方で、自分らしさを求めたい気持ちも強い。大人への反抗もこうした矛盾の現われである。
 芸術的な美感覚も育ち、美しい行為、正しい行為への感性も優れてくる。

<思考力、技能>
 思考力は大人並になり、判断を下すにもかなり広く必要な情報を集めたり処理して生かすことができるようになる。教師や親に対しても冷静に批判し、正しさのためには不正は許さない厳しさももっている。
 思考の範囲も広がり、日本から更に世界へも関心をもち、新聞、テレビなどからの情報もかなり正確に理解している。推理する力も高まり、正確な思考ができる。
 
<社会性、道徳性>
 道徳性本来の意味が理解されるようになり、悪いことは悪い、良いことは良いとする価値に規範の基準を求めようとする様子が強まる。その結果、他にも自分にも厳しく対するようになり、多少ぎくしゃくすることも起きがちである。
 また、性的な成熟の過程として理解される男女の関係や女子だけの相互の関係に、一種の戸惑いや照れが生じて、まだ、男女は互いに距離を保ち、特に冷やかされることに敏感で、忌避しようとする。女子相互でも、小さなグループに分かれ、その組替えも激しく、相互に反発し合うことも多い。しかし、こうした緊張関係は次第に解消され、相互の友情や仄かな憧れや愛情が芽生えることもある。こうした経験が、他者への思いやりを深め、自己中心の段階が他者との共存、共栄へと発展していく。


● 6年生
<体の様子と習慣>
 体つきは大人に近づき、身長、体重、座高などが急速に増える。子供らしさが残っている反面、他方では大人と変わらない機能的な変化も見られて、それに連れて、考え方や感情、仕種、表情などが子供離れしてくる。
 生活習慣は、過渡的段階で、基本的な習慣は身に付き、更に大人の真似事が多くなる。目立つこと、おしゃれ、かっこよさなどが生活の基準となる。

<情緒、関心、意欲>

 情緒は安定し豊かになる。成熟の差は大きいが、思考力や感情の面ではあまり差がなく、適応している。
 関心は大人の社会、テレビの社会などに向けられ、大人に近づきたいと願う大人願望が目立つ。持ち物、服装、しぐさ、言葉つきなどが際立って変化してくる。
 関心の対象は広がり、地域、国内から世界へと理解力が拡大し、生活に関連しては、学校全体にも気配りができるようになる。上級生としての自覚も高まる。

<思考力、技能>
 思考力は大人と同様の能力に近づき、推理力、判断力も成人とほとんど同じ状態になる。抽象化、概念化ができるようになり、言葉も表現力も豊かになる。読書も歴史物、伝記、科学物などから小説などにも関心が広がり、内面的な成長が著しい。
 また、手足を使う技能も優れ、細かい作業、根気のいる仕事にも対応できるようになる。体や頭の成長に比べると技能面の能力が劣るため、思うように作業の成果が上がらないなどのために焦ったり、落胆したりすることも多く、自暴自棄やなげやりな態度をとる場合もある。

<社会性、道徳性>
 社会性は一層広がり、自分の立場と人の立場の区別、思いやりなどが一般の社会人と同じようにできる。社会のきまり、しきたりなど、自分に対しても、他の人達に対しても、また社会的な仕組みや営みに対しても、更に、自然や美しい物、崇高なものに対しても感受性も豊かになり、理解も増える。
 規則、きまりに対しても、必要があれば作り代えることもできるようになる。全校を対象に、児童会などの運営能力も内容を自治的に進めることもできるようになり、そうした活動をすることに自信と誇りをもてるようにもなる。
 幼児期,低学年期の他律的な行為も、次第に自立的行為に変わり、ほぼ大人と同様のレベルに達するのもこの頃である。
 社会的な正義感も強まるが、しかし同時に自分への利己的対応もできるなど、ゆとりのある生活態度も特徴的である。

 

2 思春期の発達特性

  (13歳〜15歳)
 第二次性徴の発現を中心とする急激な身体の変化が始まり、男らしさ、女らしさの身体的条件が整う時期である。生物学的にいえば、生殖能力、体格、体力の面などでは、親と同じようになってくる。
 親と心理的な距離をとりたがり、秘密などを持つようになる。そして、同性の友人と交友関係を持ち、次第に相手を理想化することによって、自分の万能感を高めて自己愛を築いていく。この同性の友人関係は、固定的なものでなく、対象選択が何度か繰り返されるのもこの時期の特徴である。
 また、自分にはないものを周囲から取り入れ、理想を実現しようとする。すなわち、理想像への同一化を図ることによって、幼児期に親の権威を取り入れることによって身についた超自我に代わり、新しい「自我理想」を発展させることになる。
これまでのページは
  図説 小学校教育方法改善講座7 「よりよい生き方を育てる学級・学年経営」
    瀬戸 真 編著 ぎょうせい

  育てる学校カウンセリング4 「すこやかな心とからだを育てる」
    根岸敬矩 相馬誠一 森田光子 著 学事出版
 を参考文献とし、まとめました。 参考:http://www.jan.ne.jp/~gakusyuu/newpage4.htm

3 ハヴィガーストによる発達課題
 ハヴィガーストの著書『人間の発達課題と教育』(荘司雅子訳、牧書店、1958)の中で、子どもの成長・発達に不可欠なテーマを想定し、それは子どもに対して社会から期待される学習課題であると考え、これを発達課題と呼んでいる。
 この発達課題がもっとも効果的に習得される時期があるという。それは、子どもの成長・発達の段階に即して、次の新しい学習や経験が可能となるからだと、心の準備状態の出来上がった時期としている。
                   「人間の発達課題と教育」R・J・ハヴィガースト著から

1 乳幼児期
   (0〜5歳)

 1 歩行の学習
 2 固形の食物を取ることの学習
 3 話すことの学習
 4 排泄の仕方を学ぶこと
 5 性の違いを知り、性に対する慎みを学ぶこと
 6 生理的安定を得ること
 7 社会や物事について単純な概念を形成すること
 8 両親や兄弟姉妹や他人と情緒的に結びつくこと
 9 善悪を区別することの学習と良心を発達させること

2 児童期
  (6 〜12歳)

 1 普通の遊技に必要な身体的技能の学習
 2 成長する生活体としての自己に対する健全な態度を養うこと
 3 友達と仲良くすること
 4 男子として、また女子としての社会的役割を学ぶこと
 5 読み・書き・計算の某礎的能力を発達させること
 6 日常生活に必要な概念を発達させること
 7 良心・道徳性・価値、判断の尺度を発達させること
 8 人格の独立性を達成すること
 9 社会の諸機関や諸団体に対する社会的態度を発達させること

3 成年期
  (13〜22歳)

 1 同年齢の男女との洗練された新しい交際を学ぶこと
 2 男性として、また女性としての社会的役割を学ぶこと
 3 自分の身体の構造を理解し、身体を有効に使うこと
 4 両親や他の大人から情緒的に独立すること
 5 経済的な独立について自信をもつこと
 6 職業を選択し、準備すること
 7 結婚と家庭生活の準備をすること
 8 市民として必要な知識と態度を発達させること
 9 社会的に責任のある行動を求め、そしてそれを成し遂げること
10 行動の指針としての価値観や倫理の体系を学ぶこと

4 壮年期
  (23〜40歳)

 1 配偶者を選ぶこと
 2 配偶者との生活を学ぶこと
 3 第1子を家族に加えること
 4 子どもを育てること
 5 家庭を管理すること
 6 職業に就くこと
 7 市民的責任を負うこと
 8 適した社会集団を見つけること
 
5 実年期
  (41〜64歳)

 1 大人としての市民的・社会的責任を達成すること
 2 一定の経済的生活水準を築き、それを維持すること
 3 十代の子ども達が信頼できる幸福な大人になれるよう助けること
 4 大人の余暇活動を充実すること
 5 自分と配偶者とが人間として結びつくこと
 6 中年期の生理的変化を受け入れ、それに適応すること
 7 年老いた両親に適応すること

6 高齢期
  (65歳以上)

 1 肉体的な力と健康の衰弱に適応すること
 2 隠退と収入の減収に適応すること
 3 配偶者の死に適応すること
 4 自分の年頃の人々と明るい親密な関係を結ぶこと
 5 社会的・市民的義務を引き受けること
 6 肉体的な生活を満足におくれるように準備すること