犬鳴の野鳥

                   宮若市倉久 春田正利

 私の所属する日本野鳥の会筑豊支部では、筑豊地区の各所で定期的に野鳥の観察会を開催しています。宮若市では犬鳴ダムがその開催地となっています。観察会は毎年2月に開催され、毎回多くの参加者が犬鳴の野鳥を楽しんでいます。
 過去十二回の観察会で確認できた野鳥を表1にまとめました。一回の観察会で観ることの出来る鳥は三十種前後ですが、十二年間では二十四科五十七種を記録しています。観察会の時間は九時から十二時頃まで、ダム湖を取り囲む道路を歩きながら現れた鳥を観察し記録します。
 したがって、表1の鳥は、冬季の昼間に、ダム湖とその周辺に現れた野鳥ということになります。
 観察会の記録を基に、犬鳴の野鳥の特徴をいくつか述べてみます。
 過去十二回の観察会において毎回確認できたのはキセキレイ、ヒヨドリ、ホオジロ、ペニマシコの四種です。前三種は市内全域でよく見かける種ですから納得できますが、ペニマシコについてはおや?と思われたことでしょう。そう、犬鳴ダムはペニマシコを観ることができる場所として、野鳥ファンの間では有名な場所なのです。このべニマシコを見るために犬鳴の観察会に参加する人も多くいます。
 犬鳴ダムは一九九四年に竣工した比較的新しいダムです。ダム工事の後、土の露出した法面にセイタカアワダチソウが一斉に生えました。その種子を目当てにべニマシコが集まったと考えられます。
 その後埴生が変化し、セイタカアワダチソウは一時ほどの勢いは無くなりました。それに伴ってペニマシコの数も少なくなりましたが、いまでも観察することができます。
 猛禽類の多さも犬鳴の特徴です。ミサゴ、トビ、ハイタカ、ノスリ、ハヤプサの五種が観察されています。特にノスリは、ほぼ毎回観察できます。犬鳴はダム湖を中心にその周りを裸地、草地、潅木林、森林が取り囲み、多様な環境を形作っています。そこに棲む多様で豊富な生き物が餌となり、猛禽類を呼んでいるものと思われます。
 猛禽類の多さとは反対に、水面を利用するガンカモ類は寂しい状況です。大きな水面があるにもかかわらず観察されたのはオシドリ、マガモ、コガモ、キンクロハジロの四種のみです(アイガモは篭脱け鳥のため除外)。そしてその数も多くありません。ガンカモ類の種数も羽数も少ないのは、ダム湖の形や構成に原因がありそうです。ダム湖の形状が単純で、視界をさえぎる湾処がないこと、湖水に覆い被さるような樹木が生えていないこと、ダム湖に沿って道路が走り、人や車の通りが多いこと、などから鳥達が身を隠し落ち着ける場所がないことがその原因と思われます。宮若市内では、力丸ダムに次ぐ大きな水面があるのに、鳥たちに利用されていないのは残念です。
 ご紹介しましたように、犬鳴ダムは草原や森林に棲む鳥を中心に、多くの野鳥が観察できるところです。すぐ近くを県道が通っているためにアクセスが容易で、ダム周辺には道路や公園トイレが整備されており、野鳥観察を楽しむには最適な場所だと患います。みなさんも出かけてみませんか。 
注‥表1(犬鳴ダムの野鳥観察会で確認できた鳥)は、日本野鳥の会筑豊支部が発行する支部報「野鳥だより・筑豊」に掲載された犬鳴ダム探鳥会報告からデータを引用し編集しました。また、この表に出現した鳥のほとんどは、インターネットで、その写真を見ることができます。この「みやわかふれあいページ」にアクセスしてください。「犬鳴流域野鳥植物図鑑等 」という表題があり、その中の「犬鳴川流域野鳥101種写真集」で見る事ができます.
 この写真は、乙野の中村安道氏が十数年にわたって撮影されたものです。力作です!ぜひご覧下さい印刷して持ち歩いて、鳥を見たとき、「アツ、コレダ!」という楽しみをゲットしてください。