本HP担当者である私が、宮田西中学校に勤務しているとき、本校教育に協力を惜しまない保護者、そして教育道に卓越した教師に恵まれ、数々の営みを重ねることができました。その中で、「諫早湾干拓事業社会見学」「親子ふれあい宿泊研修」 「エコ修学旅行」などは、私として石に刻むかのように残したいメモリーであります。そこで、このMYコーナーを利用して、当時の卒業生・保護者に捧げるとともに、多くの人々にその活動の素晴らしさを感じていただくことにもなればと、まず1回目として「諫早湾干拓事業社会見学」を発信します。
 なお、HPの性格上、概容になることをお断りします。


諫早湾干拓事業社会見学 目次
きっかけと「趣意書」
初め頃の気持ちと事前学習(生徒作品HP)
結果と考察・グラフに見る私たちの変化(一部生徒作品HP)






 平成9年4月末日の午後6時頃、宮田西中学校、当時2学年1組の生徒の代表6名が、校長室に「校長先生お願いがあります」とおとず
校長へのお願い文
詳細は、下にあります
れ、きちんと整列し、代表の生徒が下写真のメッセージを読み始めました。
 「1秒でも早く助けたくて・・・」と真剣に諫早湾干拓見学希望しました。「子どもたちの命に対する思いやりの気持ちを大切にしたい」とその素朴・純粋な気持ちに感動するとともに、「返事はできるだけ早くする」とひとまず回答しました。
 ときの教育界では子どもたちの主体的な学習をもとめていました。またかねてより、当社会科教師とも、これまでの社会見学や修学旅行にしても、子どもたちは、受け身の学習活動になりがちであり、子どもたちが、切実な問題意識をもって取り組むような学習活動・見学活動が仕組めないものか苦心していました。その矢先の出来事だったのです。
 そこで、その翌朝、複雑な事象を含んでいることは十分に承知の上、お叱り覚悟で毅然として町の教育委員会へ相談に出かけました。
 教育委員会は、「いろんな考えが交錯している事象に子どもを投げ込むべきではない。しかし、貴校が子どもたちに対して適正な教育の方向を保つ努力を認めることができるようであるので許可しましょう」と一応の承認を得ることができました。
 そこで、例年6月初旬に行う社会見学を「人間と自然との共存」(生徒が後に話し合って決めたもの)を学ぶ目的の環境学習の一環として、5月16日実施予定「諫早湾干拓事業社会見学」に切り替え、保護者との同意も得ることができました。
平成9年5月17日朝日新聞朝刊一面(全国版)

 そのことを伝えると、生徒たちは喜々として班ごとに諫早湾干拓の歴史や生物の生息状況、諫早市の行政の対応などを、図書室やインターネット検索などを活用しながら学習し始めました。「ムツゴロウの歌」の合唱曲も作詞・作曲し、早朝や休日なども利用して練習に励みました。インターネットのホームページも約束通り作成して発信したのです。その姿は、私たち教師として生徒たちの驚くべき学習力に感嘆しました。これが、今で言う総合的な学習の姿でもあるような気がしました。
 その間、この活動は、新聞・テレビでもしばしば取り上げられるようになりましたが、その報道には、生徒たちの取組を「救出作戦」「校長への直訴」などの表現が見られるなどして、あたかも諫早湾干拓事業に対して批判的な教育を施しているイメージさえ生じてきました。このこともあって町教育委員会から、また多くの教育関係者外の人々からも様々なご意見をいただくようになり、この見学活動の行く末について深く憂慮される事態も生じてきました。
 しかし生徒たちは、素朴な清よらかな心・態度をますます発揮し「何もしていないムツゴロウが死ぬのはなぜか。国の干拓の必要性と環境保全とのバランスの課題を諫早湾で考えてみたい」と考えをまとめながら事前学習を様々な角度・方法から積極的に進めていきました。私たち教師は逆に励まされ、教師としてその実現に懸命に努めまして、当社会見学をついに平成9年5月16日に実施することができました。
 よって、その記録の一端である生徒たちが作成したホームページと、その結果のページを再度ここに載せますので、その活動の意義を考えていただきたいと思います。


校長先生へのお願い文

 
         す  問  ペ  ら  一     た  い     ろ  ん  い  ビ  た  い  題          
      お   ゜ 題  |   ` を  そ  く  る  そ  う  で  ま  デ   ゜ う └   私  校    
      ね  だ  に  ジ  学   ` こ  て  ム  し  と  い  し  オ  そ  の  に  た  長    
      が  か  つ  を  ん  諫  で ┌┐ ツ  て  い  く  た  や  し  を  つ  ち  先    
      い  ら  い  つ  で  早   ` ×  ゴ   ` う  の   ゜ 新  て  テ  い  は  生    
      し   ` て  く  き  湾  お  2  ロ  こ  疑  に  た  聞   ` |  て   ` へ    
      ま  ど  考  っ  た  に  ね └┘ ウ  の  問   ` く  な  笹  マ   ` 社       
      す  う  え  た  こ  い  が  た  た  九  を  な  さ  ど  栗  に  勉  会       
   二   ゜ か  て  り  と  か  い  ま  ち  州  持  ぜ  ん  で  先  し  強  科       
   年      ` も  し  を  せ  が  り  を  の  ち  こ  の   ` 生  て  を  の       
   一     い  ら  て   ` て  あ  ま   ` 諫  ま  の  ム  く  か   ` し  授       
   組     か  い   ` ま  下  り  せ  1  早  し  干  ツ  わ  ら  意   ` 業       
   一     せ  た  多  と  さ  ま  ん  秒  湾  た  拓  ゴ  し   ` 見   ┐ で       
   同     て  い  く  め  い  す   ゜ で  で   ゜ 事  ロ  く  諫  を  身   ┐      
   よ     く  と  の  た   ゜  ゜    も   `    業  ウ  お  早  出  近  世       
   り     だ  思  人  り  帰  私     早  く     を  な  し  湾  し  な  界       
         さ  っ  に   ` っ  た     く  る     す  ど  え  の  合  環  の       
         い  て   ` ホ  て  ち     た  し     る  が  て  こ  い  境  環       
          ゜ い  こ  |  き  二     す  ん     の   ` も  と  ま └   境       
            ま  の  ム  た  の     け  で     だ  死  ら  を  し  と  問       
                                                                 




マスコミに配布したプリントの一部
趣 意 書

 前述のように、当見学は多くのマスコミから注目されましたが、その報道内容に誤解等も見られるなど、その後も更に報道内容にゆらぎが見られることが予測できましたので、第一見学地である「白木峰高原」で待ちかまえていましたマスコミ関係者に下記の「趣意書」(西洋紙1枚、出発前夜作成)をすぐさま手渡し、下記内容を説明しながら「本社会見学は、マスコミなどでとかく扱われている批判者側というような立場ではなく、公教育という立場である」ことを説明しました。そのためか、その後の報道は、教育的配慮が十分うかがえるものへと変わっていったようです。
 では、その趣意書の一部を下に示します。また、別ページに生徒作品のHP、及び結果の一端を載せましたので、ご覧ください。



1 テーマ 人間と自然の共存の理解を深める
2 目 的 (しおり=本校の実施要項から)
 (1)諌早湾干潟の状況を見聞することにより、干拓の必要性と環境保護について、理解させる。
 (2)生命の大切さを学ばせる。
 (3)自発的に環境を気づかう行動を身に付けさせる。
 (4)インターネット・テレビ・新聞などに興味を持たせ、社会の出来事に関心を持たせる。
 (5)企画、運営などを生徒に主体的に活動させることによって、集団を高める。
3 当社会見学の本校教育課程上の位置づけ(本HPでは省略)
 当社会見学の意義
 この実践には、学級活動、社会科授業など30時間にわたっている。次のような成果を期待している。
(1)環境教育の一環
干拓の必要性を理解して、人間と自然の調和を理解させる。
(2)思いやりの心の高め
 生き物の干潟観察での生命の尊さを感得することを通して、人への思いやりの心情を高める。
(3)社会科の単元学習課悪の解決
 干潟に直接でかけることにより、社会科学習の「世界の環境」を肌で感じ取り、自発的に環境を気づかう態度を高める。
 (4)情報教育の実践
 諌早湾に観察にいくための資料づくり等へ生徒が自発的にインターネットを情報検索、情報収集などの活動を行ってきた。さらに、地元住民の方へのEメールをも自ら行うなど、情報化の手段を課題解決のために活用している。事後は、更に他との交流が深まると思われる。
 なお、これも、生徒自らの発想と作成で「社会見学のしおり」の内容とほぼ同一の「ホームページ」を作成し、インターネットで発信している。事後も、その報告のページを追加すると生徒は張り切っている。
(5)国際理解教育の推進
  生徒自らがインターネットの活用(海外の情報検索‥・例、干拓の歴史 オランダの干拓 干潟 魚類の生態系など)を通して、海外との距離を締めていることを、実感している。
(6) 理科教育の応用・発展
  生き物の生態系の情報収集、それらを通してムツゴロウや他の魚類との比較等で、理科での既習内容を応用・発展学習をしていることにもなる。
(7) 学び方の育成
  干潟に出かけるまで課題解決する過程で心情的にも高まり、その上で干潟直接を体験することにより、さらに学習内容が膨らみ充実感をおぼえることであろう。
  たしかに、生徒は、この学習過程において、社会の出来事にも関心が高まり、たの単元学習においても、自ら新聞記事の読みやニュースの視聴、さらにインターネットの活用などを図る生徒が増大した。
(8) 学級集団の高揚
  このように生き生きと輝く目をして事前学習や準備に取り組んでいる。それは、班を中心として行われており、相互の人間理解へと高まっているようだ。
(9)自己決定力の高揚
  事象の思考・判断・表現のためには、多くの資料・情報を必要とすること。 まして、多面的に情報を取り入れることのできる干潟とのふれあい体験を通して、それはなお一層強くなることであろう。
  そのことは、これからの判断・決定のためには、このような解決への流れ方法の必要性を身を持って感じ取り、これからの自己決定力の高めへとなるであろう。

 以上の実態を把握するために、事前・事後調査を実施して、その分析・考察を行うようにしている。

注 : 本取組の詳細は「」情報教育をめざした総合学習」加藤幸次・石坂和夫編著 黎明書房 2000 をご参照ください。

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