トップページへ

学ぶ喜びの地域づくりの会ページへ

  旧宮田町地域交流センターにおいて、サークル「学ぶ喜びの地域づくりを考える会」(会員21名)は月1回のつどいを開いていますが、平成13年9月23日(日)の会においては、下記のような講話を持ちました。
 この内容は、これからの宮田町づくりののために、参考になるものと思い、皆様にご披露いたします。
よろしければ、当会にご参加ください。
 なお、下記の講話内容記録につきましては、当講師にご了承を得ております。


 
 第6回「学ぶ喜びの地域づくりを考える会」講話記録
     
    生涯学習と地域づくりを考える
               〜ウイグルの子どもから〜

                講師 福岡教育大学助教授 井上 豊久 氏


 まず、「町づくり」を進めるためには、子どものようなワクワクした気持ちが大切です。福教大の碇先生に学んだ。あの子どものような“ウイウイシイ”ファイトが大切ですね。ワクワクしながら町づくりを進めてください。
 ここで、ウイグルに学ぶことをお話しましょう。



1 ウイグル事情
 ウイグルは、ご存知のように長寿の国です。イスラム教が主体です。なお、中国は55の民族で構成されています。ウイグルは民族運動が盛んな民族です。モンゴル地方ではありません。白人系かもしれません。ウイグル地方は日本の面積の5倍。人口1500万人、過去に自分の民族の国を持ったことがありません。言語は、ウイグル語、アラビア系。教育長は漢民族でした。
 位置は、タクラマカン砂漠、孫悟空で有名な火焔山があります。
 水が少ない。羊が威張っている。しかしその羊たちは、人間のために死んでくれます。寒暖の差がはげしいです。
 なお、中国は一人っ子政策ですね。北京では99.9%一人っ子。そのためか、その子どもたちは、我がまま。活力がない。そのような子が多くなっています。
 しかし同じ中国の中で、ウイグル地区は、民族運動があるので当ウイグルでは、3人から4人の子持ちです。ですから、これから述べるような、良い状況を保っています。

2 ウイグル民族には、生きる力、活力が
 さあ、これを前段にしてお話を進めましょう。
 幼い赤ちゃんを抱えている写真がありますが、このようなこと、お手伝い・ふれあいが、子どもにとって、よいことのようですね。中学生時代ぐらいに赤ん坊を抱えているのです。言うことを聞かない赤ちゃんの子守りを通して、このような子守りは我慢をしなくてはならないとか、を経験していることがよい場合があります。
 中学生も明るくて元気です。服装は、女の子はカラフルで、男の子は地味でしてね。近所の子もすぐに集まり元気です。また、バザールなどの市で店番をするなどしています。役割をきちんともっているのですね。ウイグルの子どもは、日本の子どもよりは忙しいのです。それは、家の仕事、店番の仕事など忙しい。しかし遊びは徹底している。勉強熱心なのですよ。「学校がとても好き」とウイグルの子はどの子もつまり100%言うのです。何で好きなのと聞くと、勉強したいと言うのですよ。日本の小学生は8割、中学生は6割ですね。何で学校が好きかと聞きますと、「勉強したいと言うのですよ」
 そうですね。ウイグルでは、日本の所得の100分の1ですが、実質的には20分の1でしょう。テレビは家にはないですね。そのためか、知識がですね、小学校にあがるまでないのです。逆に、経験は一杯あるのです。ぶつかったり、遊んだり、・・経験があって知識がないと、かえって勉強したくなっちゃうのですね。
 また理解もしっかりしますよね。当然ですよね、バケツで何杯か運んだ後で、じゃ、ある問題で何倍汲んだら一杯になるでしょうか、と勉強すれば、ガンガン入りますよね。日本の子どもは、バケツで水を汲んだこともない子が多いのではないでしょうか。そのような子にバケツを題材にして説明、考えさせても理解が進まないことが多いかもしれませんね。
 遊びも日本の遊びと似ていますね。石で石を取る遊びとか。木を木で打つ遊びとか(左下写真)。三橋町にもこのような遊びがあったようですね。このように子どもの遊びは、世界で共通していることもあるのですよ。
 ところで、遊びというのは隔世で伝えられるようですね。親よりも祖父母が伝えるというのが大体世界的な傾向なのですね。その点、日本の場合、祖父母と子どもの関係が現在ちょっとずれて来ているのではないでしょうかね。
 体のぶつかり合いも大切ですね。この写真(省略)のように子どもはよく取っ組んでいますよ。日本では騎馬戦が「あぶない」とかいって学校では、外しているところも多いとか。この体のぶつかり合いは大切だと学会の調査結果からも出ているのです。
                 トップページへ

3 子どもと高齢者の関係に見いだすもの

 子どもと高齢者との関係が大切であるという結果が出ていましてね。「反復性」という子どもの行動があります。特に幼い子どもに「また読んで」「また書いて」というように何度も要求したり、行ったりします。そうです。おじいちゃん、おばあちゃん、たちは何度も昨日のことを言ったりしてますよね。それが幼い子どもにいいようですね。これは「ゆったりした反復性」とも言えます。「幼老の関係」でよいことですね。このことをグランドペアレント(祖父母性)といって、子どものときに老人と良い関係をもったことが、将来その子が親となって自分の子どもと良い関係をもてるだけでなく、全般に前向きになったり肯定的にとらえるようになったりすると言われています。それがここに表れていますよね。
 ウイグルの場合は、権威関係がはっきりしていて、例えば、一人のおじいちゃんが子どもに声をかければ、すぐに子どもが100人ぐらい集まります。
 このことを家族のイメージ図にしてみましょう。
早速、ウイグルの小学生の5年生の子に、おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、お父さん、お姉さん、弟などをカードにして、力関係を並べてもらいますと、縦にピッと並ぶのですよ。
 日本の同じ学年の子に聞きますと、お父さん、お母さん、僕、お兄ちゃん・・・となるんですね。祖父母が出てこないのですよ。
 じゃウイグルは昔の日本の家父長制みたいなものかといいますと違いがあるのですね。ウイグルの人たちの関係は、「目上の人に口答えをするな」というような日本的な関係とは違うのですね。そこには「冗談関係」があるのですね。それは冗談が言い合えるような関係ですね。「おじいちゃん、若い子に気がいったろう。」というようなことを子どもがおじいちゃんに言える、これが冗談関係ですね。逆に、お年寄りが若い女子に冗談の声かけもできるのですね。これが大切だと思うのですよ。

4 ウイグルの「幼・老」の役割が成長を
 ウイグルの子は、ロバの関係もよいですね。動物とはよくふれあいます。とくに幼いときから、羊の当番をしていますね。最初はお兄さんのお手伝い、それから、徐々に責任をもって飼うようになりますね。ウイグルの子にあなたの夢はと尋ねると「はい、羊を育てて、おじいちゃんと一緒に食べることです。」といいます。えっ、食べるといっても、その羊を慈しんで大事に育てるのですよ。これは、人間が動物によって生かされている状態ということを、子どもは、肌を通して知っていくなーと思っています。
 それからですね。あるおじいちゃんが、肉屋を100歳過ぎてもやっているというように、ウイグルの人は、歳をとっても仕事をずっと持ちます。これは長生きの秘訣の一つですね。
 長野県でも役割を持っている高齢者の方は生き生きとしてある。長野は沖縄の次に長寿ですね。たしかに長野県において生涯学習は盛んなのですが、歳をとっても、地域社会に、家庭に老人の役割みたいなものがしっかりあるようですね。お年寄りの存在感というのかな。

5 ウイグルの長寿に学ぶもの
 ウイグルの人たちの長寿の原因はなかなかわからないようですね。医療は、呪術というか、お祈りをして治すというような“医療法”が残っているところくらいですから。
 それでもなぜ高齢なのか。考えてみますと、一つは、みなそれぞれに生きがいがあって、その上いろんな人・年齢との交流があります。イスラムでは「マハッラ」という地域共同体があるのですが、どうもこれが良いのではと思っているのですよ。ここには、みんなが互いに支えあいながら、楽しんでいくという地域の母体があるのですね。

6 子どもたちのたくましさ
 子どもたちはいろいろ働きますよ。中学校まで義務教育なのですが、しかし授業料はいるのです。だから、経済的な事情もあって、ウイグルでは、小学校では、8割、中学校では6割ぐらいしか学校に行かないのですね。仕事をしないといけないということもあって。
 面白いことに、学校でスイカとかをつくって外で売って学校で鉛筆とか紙とか机とかを買うんですね。机は昔の日本の机、紙はぺらぺらの紙、それを最後まで大事に大事に使うのですよ、鉛筆は1pまで使うのですよ。
 中学校ではですよ。とうもろこしとかの農場をもって校舎を建てたりとかですよ。儲けたりしているところもあったりして。たしかに経済的な事情もあってこのようなことになっているのでしょうが、・・・それがですよ、このことが自信を持っている生き方になっているようです。子どもたちが逞しくなり、実に生き生きとしている姿につながっているのかも知れません。
このことからして、日本の子どもたちにはいろんな問題事象が多発しています。そのことからして、日本では、子どもは勉強をしていればよいというような風潮があるようですが、それが今の「日本のツケ」になって来ているともいえましょう。

7 まなざしの教育
 それから、「まなざしの教育」といって、お年寄りなどが離れたところからじっと子どもの遊びをみているような見守る教育が大事ではないでしょうか。放任と違って、どこかで見守られているということを子どもが感じる教育がひつようではないでしょうか。
ウイグルでは、おじいちゃんが声をかけると、たくさん子どもが集まると先程言いましたが、日本の昔は集まりやすい広場があって、縁台のお年寄りの周りに子どもが集まったものですが、ウイグルにもそのような建築の構造があるのです。座って交流ができるようなものですね。そのような交流の場の大事さが建築にもあるようですね。
 日本では、以前「お父さん一日どこかで話しましょう」とキャンペーンをどこかで聞きましたが、これは続きません。効果は乏しいといわざるを得ません。やはり一緒の体験をして、あの時うれしかったな、苦しかったね、という共通の体験などがあってこそ、互いの話は深まっていくと私は考えています。このように一緒に体験したり涙したりしていくときが、また親子関係を深めることが、より近道だなと思っているのです。
 左写真のように自然にお年寄りの肩を揉んでいるのですね。まさにこの姿が自然にできるのですね。これはイスラム教の教えもあるのでしょうがね。雰囲気がですよ。やわらかい、穏やかで、・・。
 ところがです。日本のお年よりは、年金が安い、医療費が高いなどとマイナスイメージばかりですね。やはりお年寄りというのは、ゆとりがあって、やさしくて、そして、お年寄り自身が、これから温かい社会になっていくんだよということようなことを自ら感じていくような町づくりです。いやお年寄りばかりでなく、そのようなイメージをみんながもてるような社会を作る必要があるのではないでしょうか。これはウイグルを見ていると感じたのですがね。言い換えればですよ。高齢者の方が住みやすいということはですよ、いろんな方にとって、住みやすいということではないでしょうか。
 若い人たちだってですよ。疲れたときはですよ、手すりにすがりたいときとが、あるでしょう。そのような手すりを互いのために作る。そう意味ではですよ、誰もが住みやすい社会にすると言ったが良いといえるのではないでしょうか。
 さきほど言った様に、町の中に、適当に地域共同体というような場があってですよ。育ちあいですよ。誰もが出かけやすい場があればよいですね。このようなどっかで見られている、また見守られているという「まなざしの教育」の場づくりが大切でしょう。遊んだり、食べたりしながらしているところをじっと温かく見つめているような場があればよいと思うのですよ。

8 幼少の頃から地域参加を

 よく、中・高校生は、町の行事などにさっぱり参加しないと聞くことがありますが、私は、小さい頃から参加させていると来るようになると考えます。福岡市では、すべての小学校に公民館があるんですよ。そこで調査をしてみるとですよ。お母さんも乳幼児の頃に参加させていると、子どもが、大きくなった頃に、「じゃうちの子も行かせてみようか」という気持ちになるみたいですね。

9 地域の人にやりがい感を
 話し変わりますが、ある公民館長さんのことなんですが、授業はうまいし、いろんなことができるんですが、公民館に来られる人に、全部教えないで、できるだけ自分でやってもらうという信念で参加者に、自ら計画、広報もしてもらうように心がけておられます。「力はあるけど、あるとは言わないでやってもらう」といったこの信念、これが、町づくりを長続きさせるもとではないでしょうか。

10 幼老が生きがいを持つ町づくり
 このように、子どもと高齢者が生きがいをもって生きられるような社会、それがほんとにゆとりのある町なんだよ、いうことがウイグルの人たちに触れて、実感として分かったのですよ。

11 穏やかに子どもに近づく
 その他に、ウイグルの人を招いた近頃の福教大のシンポジウムで「学校に行く前に子どもは叱らない」「穏やかに育てることが大事だよ」とかいっていました。
 また、子どもたちを学習させる上で、子どもたちに多方面からの意見を聞かせるということも大切ではないかと考えます。

12 出会い・ふれあい・響きあいの地域づくりを

 最後に、「であい、ふれあい、響きあい」というところが基本かなと思いました。ウイグルの人は、お金をかけないで、人と人との出会いを楽しむことを知っているようですね。行事などにも、お金をかけないのですよ。人と人とのふれあいを大切にしているのです。お金はかけませんね。
 ところが、日本では、光と影とか称して光あたる裕福な金かけた豊かな生活の部分を強調しがちです。しかし、個々の人に目を落として見ると、影の部分、つまり真の豊かでないと感じてしまう自分がそこにある。そこに「キレル」という状況を作っているのではないでしょうか。
 虐待とかの親の状況を見てもいえるようですね。全部が全部ではないですけどもね。若年結婚の場合に多いとも言われていますよね。虐待防止法ができたわけですが、これではだめですね。いくら警官が周りに付いていても親のことでもありますからね、かーっとなって子どもを虐待していることがあります。そこで地域が大切ですよね。地域の人が注意を払い、アンテナを張っていく。そして地域がその親を説得なりして導いていくことも大切ですよね。地域ですよ。ふれあいを大切にした取り組みをつくりましょう。ふれあいを活発にする地域社会、町づくりがあることを忘れないようにしましょう。
 例えば、宇部市では、「ファミリーサポート」といって、全国で先駆けてずっとやっているのですけどもね、問題は、やはり、身近な地域の活動というか、地域の高まりが大切なのだと思いますよ。
                                      終わり

                                記録文責 藤渕明宏
                           トップページへ

学ぶ喜びの地域づくりの会ページへ